ある法律事務所が業務停止になった。
過払い金請求のCMを目にしない日はない。
過払い金とは
利息にはかつて利息制限法と出資法の二種あり、銀行等が守っていた利息制限法、年率上限20%まで、消費者金融等が守っていた出資法、年率上限29.2%、この10%の利息の差が過払い金となる。
多くの消費者金融は利息さえ払えば次の支払いまで待ってくれたりもします。元金額が減らなければ支払いは永久的に終わらない。
単純計算で元金50万✖29.2%=
146,000円
利息制限法だと
50万✖20.0%=
10万
年間4万6千円の差
この利息だけ返済期間が10年だとすると46万になります。同じように支払いしていた会社が3社なら138万となり高額になります。
しかし消費者金融は一括で全額を払う訳ではありません、消費者金融といっても常にお金が有り余っているわけではなく、その多くが銀行から融資を受けて消費者へ貸し出しているのです。
消費者金融に過払い金請求が殺到すると、倒産してしまう可能性があります、倒産してしまえば過払い金の返還はゼロになってしまいます。この過払い金請求の騒動が始まってからは、消費者金融業界は縮小され、多くの社員がリストラされました。
そういった事情によって消費者金融は減額を申し出ます。分割で長期的に和解するか、一括で和解するか2択になります。一括支払いの条件は会社によって異なります。5割なのか、3割なのかは会社によって異なります。法律事務所との和解では長期の和解はほとんどありません。管理が大変だからです。減額になっても一括での和解となります。
こうして過払い金は減ることになりますが仮に減額後の金額が50万だとすると、そこから成功報酬が差し引かれます。成功報酬の割合も、事務所によって異なります。だいたい20%から40%なので10万から20万が引かれます。
残った額が戻ってくるのかと思いきや、まだです。
ここから受任料と手数料が差し引かれる。相談が無料でも、正式委任すれば費用はかかります。受任料は事務所によって異なります。
138万あった過払い金が確実に少なくなって戻ってくる訳です。
でもでも
過払い金申請は自分でできるようです。
取引履歴、計算書の申請(利息制限法利率)をそれぞれ会社へ電話、もしくは書面で行う。
若干の手数料がかかりますが1社1,000円にみたないでしょう。
計算書を見て過払い金があれば請求書を作成し、減額の連絡があれば交渉し、ある程度譲歩した金額で和解した方がいいようです。裁判になれば裁判所へ出向いたり平日に休みをとらなければならなかったりと、時間的負担も大きくなります。
業務停止の表面的な理由
テレビCM等で期間限定での無料相談を大々的に宣伝し、実は断続的に無料相談を受け付けていた。皆さんもどんな相談でも有料より、無料の方がいいと思います。他の法律事務所へ行って相談料を取られるなら、まずは無料相談に行きますよね。それが景品表示法に抵触する。
私的な推測
①顧客(相談者)を占有し、成功報酬を積み上げる行為が、弁護士会から摘発されたのではないか。
②相談者が多く集まり過ぎて、弁護士に直接相談ではなく、事務所の所員(事務員)に事情を相談し、事務手続きだけの経営をしていたのではないか。
③破産の相談や、成功報酬のない利益の少ない相談の対応遅延。
以上かつて元消費者金融に勤めていた友人より聴取した内容を元に推測しました。私的な推測ですので本当の所はわかりません。一般の企業が2カ月間業務停止になれば大打撃です。勤めている人達も大変だと思います。弁護士も国から給料もらってる訳じゃないんで、経営も重要な業務の一つです。ですが、困ってる人達の相談にはちゃんと向きあってくれる先生がいいですね。